死の島

ベックリンの「死の島」。一度見たら忘れられない。小さな島の前に小舟。そこに立つ女性。よく見ると小さな棺。これから島へ埋葬する様子らしい。島が墓地、と言うのはヨーロッパではよくあることなのですって。
ダイアナ元皇太子妃も、自分の家の島に眠っているとか。そういえばホームズの物語に、代々の先祖が眠る墓地に船で渡る、というのがありましたね。考えてみると、日本でも仁徳天皇陵は、水に囲まれていますし。
だから、この絵も私が思うほど意味深でも不思議でもないのかもしれません。しかも同じバージョンが五枚も存在する、ということですから、かなり自然に受け止めていいのかもしれません。しかも島が墓地なら「死の島」でいいし。
私、この絵を初めて見たとき、女性が死の誘惑に駆られて、これから自殺する、と思ったのです。でも、埋葬する、ということなのですね。確かに人を埋葬するのは悲しいけれど、それは生きているものの義務だから。
なんだか「こちらへいらっしゃい」という死の誘惑のようなものを感じるのは、お門違いでしょうか。こちらの気分が反映する、と言うことなのでしょうか。当時、ドイツでは各家庭に飾られていたとか。しかし、それはねー。
忘れられない、という意味では、ムンクの「叫び」もそうですが、ムンクの方は絶望的なのに、こちらは静かなのは、「死」が静かなもの、ということでしょうか。死んだ人に聞くわけにもいかないしねー。